Heat

365日24時間、寝てる時と通勤電車との中、食事中以外はほとんど仕事をしているし、仕事をしていない時は仕事のことを考えている。

1年目は、慣れることに毎日必死で過酷な現場にしがみついた。2〜3年目は、アルコール依存症寸前になるまで追い詰められた。4年目からは、帰らないことも寝られないことも当たり前になりすぎて、なんとも思わなくなった。社会人になってから、仕事のことを考えない日なんてなかったので、5年目は仕事を考えないようにする努力を始めた。このままでは、良くないと思ったから。

プライベートのSNSをほとんど見なくなって、代わりに公式アカウントを見る時間が増えた。SNSを見る時ですら仕事のためになるように。何があってもいいように金曜の夜は予定を入れないようにしたら、いつも誘ってくれていた友達から誘われなくなった。同居人と穏やかで温かい生活を続けるのが怖くなった。つまらないものしか作れなくなりそうで。

会社の適正テストの結果が返ってきて、社会性が10点満点中1だった。小学生の時の通知表から一切変わらない内容が書かれていた。人間ってそう簡単には変わらないんだと安心した。

だんだんと、仕事の交友関係が増えて、学生時代の友達と話が合わないと感じることが増えた。それは寂しかった。

好きな漫画に「大事なもの全部捨てて上京してこれに賭けたの」というセリフがあって、まさにその通りだった。何を無くしても捨てたくないと思った。承認欲求、自己肯定感、社会と私を結ぶ紐。恋人でも友人でも満たせることのない何かを満たしてくれるのが、この仕事だから。努力と言えば聞こえがいいんだろうけど、自分にとったら仕事をしているのがあまりにも普通のことで、それは他人に評価されるものでも、押し付けることでもない自分だけの価値観。だから、私が評価されることは当然のことなので、昇給しようがなんだろうが別に驚きはしない。だけど、なんとなくこのままでいいのかなって、漠然と不安になるような日もある。ただ、今日あらためて何にもいらないからこの仕事が欲しい、と思ったことを思い出した。それを、思い出せてよかった。